遺言作成について
相続をめぐるトラブルの多くは、遺言を残しておけば防げるものも少なくありません。
特に次のようなケースでは、遺言を残しておくことで、よりスムーズに遺産の相続ができると考えられま
す。
こんな時には遺言を残すことをお勧めします
1.相続人同士が不仲である
2.特定の人に事業を継がせたい
3.子供のいない夫婦などの場合
4.内縁関係である場合
5.法定相続人以外の人に財産を分けたい
遺言とは?
遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。残された家族の間で争いが起
きないように配慮することは、被相続人の生前の義務といっても過言ではないと思います。
なお、遺言は残された家族の資産や身分に影響を与えるものですので、法律により遺言で指定できる事
項が決まっています。
遺言で指定できる事項は次の4つに限定されます。
1.相続分の指定
誰にどのような割合で相続させるかを指定できます。
2.遺贈や寄付による遺産の処分
遺産を特定の相続人や法定相続人ではない第三者に贈ったり(遺贈)、公益法人などに寄付できます。
3.認知
婚姻届を出していない男女間に生まれた子を、親が自分の子だと認めることです。
生前でもできますが、遺言によってすることもでき、認知されればその子は相続人になれます。
4.遺言の執行に関すること
遺言執行者を決めたり、その指定の委託をすることができます。
遺言の形式
自筆証書遺言 |
遺言としては、もっとも手軽に作成できるもので、本人が遺言すべてを自筆で書き、日付・氏名を明記し、捺印します。(ワープロやタイプライターは無効となります。)
本人以外に誰も関わらずに作成できる(証人が不要です)ので、秘密保持には適していますが、本人の死亡後、家庭裁判所の検認が必要です。
また、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがあります。 |
秘密証書遺言 |
本人が署名・捺印した遺言書を封筒に入れて封印をし、2人以上の証人とともに公証人に遺言者本人が作成したものであることの確認を受けます。
本人の署名・捺印がされていれば、ワープロで作成していても構いません。
遺言書の内容を本人以外に秘密にすることはできますが、内容のチェックがされないため、内容によって後日遺言が無効となる可能性もあります。
また、本人の死亡後は家庭裁判所の検認が必要です。 |
公正証書遺言 |
公証人と証人2人以上の立会いのもと、遺言者が口頭で述べた内容を公証人が筆記して作成します。
筆記後、公証人が遺言者と証人に内容を読み聞かせ、遺言者と証人はその内容に間違いが無いことを確認して署名・押印します。
遺言書は公証役場で保管されますので、偽造・変造等のおそれがなく、公証人が内容を確認するため、後日遺言が無効となる心配もありません。
そして、最大の特長として、家庭裁判所の検認手続きが不要です。 |
遺言を見つけたら
遺言書を見つけたら、簡単に開封してはいけません。
遺言執行の前に、遺言書の状態を確認し偽造・変造を防ぐため、家庭裁判所に検認の申立てをして、遺
言の存在と内容について家庭裁判所の確認をうける必要があります。
遺言が自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合には、この検認手続きを経ずに開封された遺言につ
いては、無効とされる可能性があります。
不明な点があれば、お気軽に当事務所にご相談ください。
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